「一年後、保くんが卒園したら、俺は君を迎えに行きます」
低く囁くような声。
オレの大好きな笑顔。
唇に触れた、親指の感触。
一年なんてめちゃくちゃ長いよ。
正直、待てるかーと何度も思った。晴大先生のことで頭がいっぱいになって、眠れない日も少なくなかった。
保のお迎えに行く度に、先生に会う度に、先生の笑顔を見る度に、他のお母様方と話してるだけで、胸が苦しくなって、早く、早くってカレンダー何度も見つめてみたり、そわそわするオレに、保がぽつりと言った。
「りょうおもいなら、つきあえばいいのに」
分かってるっつーの!!つか、お前に言われんのが一番腹立つわ!!!
という、悶々とした日々を送り続けて早一年。
そう、一年。
今日は、待ちに待ちまくった、保の卒園式!!なのだ!!
玄関で座り込んで靴を履く保を急かすように、オレは玄関先でそわそわして言った。
「早くっ!早くしろ保!遅れるだろっ!!」
「おくれないよ。まだ、そつえんしきまでいちじかんもあるのに…」
保が口を尖らせるのを、オレは叱責した。
「バカっ!大事な大事な式典だぞ!?遅れたらどうする!?」
「ようちえんまで10分かからないのに…もういくの?」
「しかも光。あんた今日学校でしょ。保はあたしが送ってくから、あんたは早く行きなさい」
廊下にひょっこり顔を覗かせた母ちゃんが、しっしっと追い払うように手を払った。オレは玄関先で沈み込んだ。
…そう。そうなんです。この大事な今日に限って、実はオレは登校日なのだ。登校日っつーか、オレだけ補習なのです。
ここ一ヶ月、保の卒園式が近づくのをわくわくして待ってたら、学年末テストで赤点を大量生産させてしまったのだ。
「なんでよりによって今日なんだろ…。そして赤点を取りまくったテスト前のオレを罵りたい…」
「そうだね。でもしかたないよ。光バカだもん」
「………」
沈み込んだオレに追い討ちをかけるかのように、保がぽんっとオレの肩を慰めるように叩いた。
卒園式に向け、きちんと制服を着こなした保は、小さい手をオレに向けて振った。
「じゃあね。そつえんしき、ごぜんちゅうまでだから。光おわったらくれば?」
「……そうする…」
いってきます…と元気なく呟いて、ふらふらと家を出た。
ああ、せっかく待ちに待った大事な日にお勉強って…オレのバカ!
ていうかね、そんなわざわざオレのために補習なんてしてくれなくても、今日のオレは、頭に何も詰め込む気しないっての。
はあ〜っと大規模な溜息を吐き出すと、先生に睨まれた。
「すっかり上の空のようだな、由良川。先生だってせっかくの休みにわざわざ学校に出てるんだ。もっと真面目に受けてくれないとやりがいがない」
「すみません」
素直に謝ると、先生が言った。
「今日はうちの子の卒園式だったんだがな」
「え?そうなんですか?オレの弟も卒園式なんです」
「そうか。じゃあ早く終わらせて迎えに行ってあげなさい」
「はい。頑張ります!」
オレは腕まくりをして、気合を入れ直した。
よっし!頑張ろう!さっさと終わらせて、晴大先生に会いに行こう!!
低く囁くような声。
オレの大好きな笑顔。
唇に触れた、親指の感触。
一年なんてめちゃくちゃ長いよ。
正直、待てるかーと何度も思った。晴大先生のことで頭がいっぱいになって、眠れない日も少なくなかった。
保のお迎えに行く度に、先生に会う度に、先生の笑顔を見る度に、他のお母様方と話してるだけで、胸が苦しくなって、早く、早くってカレンダー何度も見つめてみたり、そわそわするオレに、保がぽつりと言った。
「りょうおもいなら、つきあえばいいのに」
分かってるっつーの!!つか、お前に言われんのが一番腹立つわ!!!
という、悶々とした日々を送り続けて早一年。
そう、一年。
今日は、待ちに待ちまくった、保の卒園式!!なのだ!!
玄関で座り込んで靴を履く保を急かすように、オレは玄関先でそわそわして言った。
「早くっ!早くしろ保!遅れるだろっ!!」
「おくれないよ。まだ、そつえんしきまでいちじかんもあるのに…」
保が口を尖らせるのを、オレは叱責した。
「バカっ!大事な大事な式典だぞ!?遅れたらどうする!?」
「ようちえんまで10分かからないのに…もういくの?」
「しかも光。あんた今日学校でしょ。保はあたしが送ってくから、あんたは早く行きなさい」
廊下にひょっこり顔を覗かせた母ちゃんが、しっしっと追い払うように手を払った。オレは玄関先で沈み込んだ。
…そう。そうなんです。この大事な今日に限って、実はオレは登校日なのだ。登校日っつーか、オレだけ補習なのです。
ここ一ヶ月、保の卒園式が近づくのをわくわくして待ってたら、学年末テストで赤点を大量生産させてしまったのだ。
「なんでよりによって今日なんだろ…。そして赤点を取りまくったテスト前のオレを罵りたい…」
「そうだね。でもしかたないよ。光バカだもん」
「………」
沈み込んだオレに追い討ちをかけるかのように、保がぽんっとオレの肩を慰めるように叩いた。
卒園式に向け、きちんと制服を着こなした保は、小さい手をオレに向けて振った。
「じゃあね。そつえんしき、ごぜんちゅうまでだから。光おわったらくれば?」
「……そうする…」
いってきます…と元気なく呟いて、ふらふらと家を出た。
ああ、せっかく待ちに待った大事な日にお勉強って…オレのバカ!
ていうかね、そんなわざわざオレのために補習なんてしてくれなくても、今日のオレは、頭に何も詰め込む気しないっての。
はあ〜っと大規模な溜息を吐き出すと、先生に睨まれた。
「すっかり上の空のようだな、由良川。先生だってせっかくの休みにわざわざ学校に出てるんだ。もっと真面目に受けてくれないとやりがいがない」
「すみません」
素直に謝ると、先生が言った。
「今日はうちの子の卒園式だったんだがな」
「え?そうなんですか?オレの弟も卒園式なんです」
「そうか。じゃあ早く終わらせて迎えに行ってあげなさい」
「はい。頑張ります!」
オレは腕まくりをして、気合を入れ直した。
よっし!頑張ろう!さっさと終わらせて、晴大先生に会いに行こう!!













