メンタルメンテ
20
なんでこんなことになったんだろう。
一年の時にくじ引きで学級委員長に任命されて、それ以来委員長癖がついてしまったらしい。二年になっても引き継ぐ嵌めになってしまった。まあそれはいい。向いてるんだから別にいい。
委員長というのは、平たく言えば雑用係、中間管理職に近い。先生とクラス連中の板ばさみに遭い、胃を痛ませて神経をすり減らし、クラス内の安寧を保つのが使命。面倒くさいったらない。
そして、二年になって、更に面倒くさい&鬱陶しい問題が勃発した。
留年の問題児佐久間が、学校一の俊足ヤマトに恋したのである。
毎日毎日繰り返される佐久間の求愛行動と、ヤマトの怒鳴り声プラス逃亡劇に、クラス全員が辟易していた。そしてとうとう、上司である担任から俺に指令が下されたのだ。
クラスの平穏を乱す輩を排除しろと。
…いや、実際もっと頑強にオブラートに包んでたけど。
んで、賢い俺は考えた。
それが、こないだ行われた校内限定鬼ごっこ。
佐久間がヤマトを捕まえたら、ヤマトが佐久間の言うことを聞くこと。ヤマトが逃げ切ったら、二度と佐久間はヤマトに言い寄らないことを約束させた。
ちょっと半強制っぽくて、良心が痛んだけど、単純な二人はすぐに乗ってくれた。
扱い易い奴は大好きだ。
しめしめと内心思いつつ、それは執り行なわれた。
そして結果。
佐久間がヤマトを捕まえたらしい。
そして二人は付き合うことになったはずなのだが。
…本当に付き合ってるんだろうか?
毎日、ヤマトの奴佐久間を殴ってるけど。これじゃあ、前とあんま変わらなくねえ?
……俺の作戦、失敗か?
一応、結果は上司に報告せねばならない。
俺は、担任小野崎のいる職員室に向かった。
小野崎は自分の前の丸椅子を俺に勧めた。
疲れ切った表情。まだ若いのに、既に心労がルックスを侵し始めているらしい。黒縁眼鏡の中に見える目の下には、濃厚な隈が潜んでいた。
「……というわけで、作戦は失敗に終わったようです」
「……マジっすか」
「マジっす」
「…どうしたら、いいと思う?長柄」
「俺に聞かないでください」
「…だって、もう考えんの面倒くさい。てか、もうくっついちゃえばよくない?ヤマトもまんざらじゃないんだろ?」
「知りませんよ。というか、教師の台詞じゃないと思うんですが」
小野崎の疲労はピークに達しているらしい。『考えるの面倒くさい』って、多分教師が吐いてはいけない台詞ベスト5に入ると思うんだけど。
「大体奴ら二人とも、XとYの染色体持ってるんだよ。片方X足りないってこと分かってんのかな?」
「分かってないと思います。というか、自分の持ってる染色体の数も知らないと思います」
「…高2なのに…?」
「高3になったら嫌でも覚えるんじゃないですか」
「…長柄は冷たいねえ」
「冷たくないでしょ。4組総勢31人中、2人のことにこんなに時間割いてやってるんだから、寧ろ優しいでしょ。クラスメイト思いでしょ」
「そのまま担任思いにもなってくれない?」
「31分の1は先生のこと考えてますから、安心してください」
「…その割合、1分の1にならない?」
俺は小野崎を見た。
眼鏡の奥の目が、思いの外、まっすぐこちらを見つめていて、真意を図り損ねる。
「……俺もXとY両方持ってるんですけど」
「Xあげようか?」
「結構です」
付き合ってられん。
俺は席を立った。そのまま去ろうとすると、背後から声を掛けられた。
「じゃ、長柄。次の指令」
「…なんですか」
渋々向き直ると、小野崎が席を立って俺の方へと、一歩近づいた。
耳元に、低く囁かれる。
「ストイックな学級委員長を落とす方法、考えてきて」
…なんでこうなるんだ。
ああ、委員長なんてなるんじゃなかった。
もう二度と、頼まれたってするもんか。
<END>

面白かった気がする!という方は、
ぽちっとお願いします☆
一年の時にくじ引きで学級委員長に任命されて、それ以来委員長癖がついてしまったらしい。二年になっても引き継ぐ嵌めになってしまった。まあそれはいい。向いてるんだから別にいい。
委員長というのは、平たく言えば雑用係、中間管理職に近い。先生とクラス連中の板ばさみに遭い、胃を痛ませて神経をすり減らし、クラス内の安寧を保つのが使命。面倒くさいったらない。
そして、二年になって、更に面倒くさい&鬱陶しい問題が勃発した。
留年の問題児佐久間が、学校一の俊足ヤマトに恋したのである。
毎日毎日繰り返される佐久間の求愛行動と、ヤマトの怒鳴り声プラス逃亡劇に、クラス全員が辟易していた。そしてとうとう、上司である担任から俺に指令が下されたのだ。
クラスの平穏を乱す輩を排除しろと。
…いや、実際もっと頑強にオブラートに包んでたけど。
んで、賢い俺は考えた。
それが、こないだ行われた校内限定鬼ごっこ。
佐久間がヤマトを捕まえたら、ヤマトが佐久間の言うことを聞くこと。ヤマトが逃げ切ったら、二度と佐久間はヤマトに言い寄らないことを約束させた。
ちょっと半強制っぽくて、良心が痛んだけど、単純な二人はすぐに乗ってくれた。
扱い易い奴は大好きだ。
しめしめと内心思いつつ、それは執り行なわれた。
そして結果。
佐久間がヤマトを捕まえたらしい。
そして二人は付き合うことになったはずなのだが。
…本当に付き合ってるんだろうか?
毎日、ヤマトの奴佐久間を殴ってるけど。これじゃあ、前とあんま変わらなくねえ?
……俺の作戦、失敗か?
一応、結果は上司に報告せねばならない。
俺は、担任小野崎のいる職員室に向かった。
小野崎は自分の前の丸椅子を俺に勧めた。
疲れ切った表情。まだ若いのに、既に心労がルックスを侵し始めているらしい。黒縁眼鏡の中に見える目の下には、濃厚な隈が潜んでいた。
「……というわけで、作戦は失敗に終わったようです」
「……マジっすか」
「マジっす」
「…どうしたら、いいと思う?長柄」
「俺に聞かないでください」
「…だって、もう考えんの面倒くさい。てか、もうくっついちゃえばよくない?ヤマトもまんざらじゃないんだろ?」
「知りませんよ。というか、教師の台詞じゃないと思うんですが」
小野崎の疲労はピークに達しているらしい。『考えるの面倒くさい』って、多分教師が吐いてはいけない台詞ベスト5に入ると思うんだけど。
「大体奴ら二人とも、XとYの染色体持ってるんだよ。片方X足りないってこと分かってんのかな?」
「分かってないと思います。というか、自分の持ってる染色体の数も知らないと思います」
「…高2なのに…?」
「高3になったら嫌でも覚えるんじゃないですか」
「…長柄は冷たいねえ」
「冷たくないでしょ。4組総勢31人中、2人のことにこんなに時間割いてやってるんだから、寧ろ優しいでしょ。クラスメイト思いでしょ」
「そのまま担任思いにもなってくれない?」
「31分の1は先生のこと考えてますから、安心してください」
「…その割合、1分の1にならない?」
俺は小野崎を見た。
眼鏡の奥の目が、思いの外、まっすぐこちらを見つめていて、真意を図り損ねる。
「……俺もXとY両方持ってるんですけど」
「Xあげようか?」
「結構です」
付き合ってられん。
俺は席を立った。そのまま去ろうとすると、背後から声を掛けられた。
「じゃ、長柄。次の指令」
「…なんですか」
渋々向き直ると、小野崎が席を立って俺の方へと、一歩近づいた。
耳元に、低く囁かれる。
「ストイックな学級委員長を落とす方法、考えてきて」
…なんでこうなるんだ。
ああ、委員長なんてなるんじゃなかった。
もう二度と、頼まれたってするもんか。
<END>
面白かった気がする!という方は、
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Comment
わーーーーーー!!
好・物・到・来!!
先生×高校生!!んぎゃあーーーーー!!
ハァハァが止まりません!
はるるんイチゴ様、是非とも続きを!!!
好・物・到・来!!
先生×高校生!!んぎゃあーーーーー!!
ハァハァが止まりません!
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- さくら.
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やほい!!
我も好物!!先生×高校生!!
そういやここで上げるのは初めてですね!よく妄想はしてるのに〜〜!!
続き、これは妄想 書けそうですね!ガンバッテ文字に起こしてみようと思います☆
我も好物!!先生×高校生!!
そういやここで上げるのは初めてですね!よく妄想はしてるのに〜〜!!
続き、これは
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- イチゴ
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