メンタルメンテ
06
東条の家は、駅から歩いて10分程の12階建てマンションの最上階にあった。
…無言のエレベーター内の気まずさと言ったら。人生トップ3に入る勢いだった。
「ここ」
エレベーターを降りてエントランスを抜けて、3つほど扉の前を過ぎると、先を歩く東条が足を止めた。鞄の中から慣れた手つきで鍵を取り出して開けると、中に入って肩越しに俺を振り返った。
「どうぞ」
「…どうも…お邪魔します」
玄関には、今脱いだばかりの東条のスニーカーしかなくって、本当に家の人がいないんだなーと思い知らされて、緊張具合がより上昇した。綺麗に掃除されたフローリングの廊下を通って、左手の扉を東条が開けた。
「適当に座ってて。何か持ってくる」
そう言い残して、彼は更に廊下を進んで奥のすりガラスの扉を開けた。あちらがリビングらしい。
その背中を見送ってから、俺はお邪魔しますと呟いて左手の部屋に足を踏み入れた。部屋の奥の壁にベッドが押し付けられていて、ベッドの上に窓があった。そこからマンションの廊下が見えるようになっている。ベッドの向かい側には背の低いカラーボックスが3つ並んでいて、そこにCDやら雑誌やらが詰め込まれていた。そのカラーボックスの上に年季の入ったCDプレーヤーと畳まれたノートパソコン。…というか、机が無い。学生の本分はどこで繰り広げられているのだろう。
「…床?」
所在なさげにぼんやり部屋の中央に立っていると、盆の上に飲み物を載せた東条が立ちっ放しの俺を見て声を上げた。
「え?なんで立ってんの?」
「…いやいや、机がないですよ東条さん。椅子もないし」
「ああ、オレ机嫌いなんだー。学校でほとんど座ってんのに、家でまでじっと座ってたくないというか」
「え?宿題とかテスト勉強はどこでするの?」
「ベッドに寝転んでかー、床に寝転んでかー、それがしんどい時はリビングで」
「…捗るのか?それ」
「学校より捗るよ。オレ寝転んで勉強した方が頭に入るみたい。あ、適当に座って」
そう言って東条は、お盆を部屋の中央に置いた。そのまま、制服の上着をベッドの上に投げて、扉隣のクローゼットを開いて何かを引っ張り出す。
「はいこれ。座布団敷くといいよ」
「…サンキュ」
顔面で受け取った座布団を、部屋の中央に置かれた盆の近くに寄せて座ると、東条も自分の分を引っ張り出して、俺の向かいに置いた。そのまま、カラーボックスの前まで移動すると、ごそごそし出した。
「あれ…この辺に…」
「…CDプレーヤーの中じゃないか?」
「おお!」
俺の助言に、東条が顔を上げてCDプレーヤーの電源を入れた。すぐにOPENボタンを押す。
「こんなところに!」
「…昨日聞いたって言ってたじゃん」
「あ、今聞く?」
「うん。あ、ジャケット見せて」
あ、なんかいい感じだ。
このまま自然に何事もなく過ごせれば…
「ん?」
何事もなく?
自然と思いついた自分の考えに、愕然とする。
何事もなくていいのか、俺?!

楽しんでいってくだされば幸いです♪
…無言のエレベーター内の気まずさと言ったら。人生トップ3に入る勢いだった。
「ここ」
エレベーターを降りてエントランスを抜けて、3つほど扉の前を過ぎると、先を歩く東条が足を止めた。鞄の中から慣れた手つきで鍵を取り出して開けると、中に入って肩越しに俺を振り返った。
「どうぞ」
「…どうも…お邪魔します」
玄関には、今脱いだばかりの東条のスニーカーしかなくって、本当に家の人がいないんだなーと思い知らされて、緊張具合がより上昇した。綺麗に掃除されたフローリングの廊下を通って、左手の扉を東条が開けた。
「適当に座ってて。何か持ってくる」
そう言い残して、彼は更に廊下を進んで奥のすりガラスの扉を開けた。あちらがリビングらしい。
その背中を見送ってから、俺はお邪魔しますと呟いて左手の部屋に足を踏み入れた。部屋の奥の壁にベッドが押し付けられていて、ベッドの上に窓があった。そこからマンションの廊下が見えるようになっている。ベッドの向かい側には背の低いカラーボックスが3つ並んでいて、そこにCDやら雑誌やらが詰め込まれていた。そのカラーボックスの上に年季の入ったCDプレーヤーと畳まれたノートパソコン。…というか、机が無い。学生の本分はどこで繰り広げられているのだろう。
「…床?」
所在なさげにぼんやり部屋の中央に立っていると、盆の上に飲み物を載せた東条が立ちっ放しの俺を見て声を上げた。
「え?なんで立ってんの?」
「…いやいや、机がないですよ東条さん。椅子もないし」
「ああ、オレ机嫌いなんだー。学校でほとんど座ってんのに、家でまでじっと座ってたくないというか」
「え?宿題とかテスト勉強はどこでするの?」
「ベッドに寝転んでかー、床に寝転んでかー、それがしんどい時はリビングで」
「…捗るのか?それ」
「学校より捗るよ。オレ寝転んで勉強した方が頭に入るみたい。あ、適当に座って」
そう言って東条は、お盆を部屋の中央に置いた。そのまま、制服の上着をベッドの上に投げて、扉隣のクローゼットを開いて何かを引っ張り出す。
「はいこれ。座布団敷くといいよ」
「…サンキュ」
顔面で受け取った座布団を、部屋の中央に置かれた盆の近くに寄せて座ると、東条も自分の分を引っ張り出して、俺の向かいに置いた。そのまま、カラーボックスの前まで移動すると、ごそごそし出した。
「あれ…この辺に…」
「…CDプレーヤーの中じゃないか?」
「おお!」
俺の助言に、東条が顔を上げてCDプレーヤーの電源を入れた。すぐにOPENボタンを押す。
「こんなところに!」
「…昨日聞いたって言ってたじゃん」
「あ、今聞く?」
「うん。あ、ジャケット見せて」
あ、なんかいい感じだ。
このまま自然に何事もなく過ごせれば…
「ん?」
何事もなく?
自然と思いついた自分の考えに、愕然とする。
何事もなくていいのか、俺?!
楽しんでいってくだされば幸いです♪
Comment
如月様
こんばんわ!コメントありがとうございます♪♪
親が共働きの家へ遊びに行く…香芝ももうちょっとテンション上げてもいいのになーと思いながら書き始めたこの話。
あまりの香芝の天然ぶりに、自分でもやきもきしております。話が進まねええーー!!いっそのこともう押し倒しちゃえよ東条
何事もなく終わらせませんよ勿論!!う腐腐腐…
こんばんわ!コメントありがとうございます♪♪
親が共働きの家へ遊びに行く…香芝ももうちょっとテンション上げてもいいのになーと思いながら書き始めたこの話。
あまりの香芝の天然ぶりに、自分でもやきもきしております。話が進まねええーー!!
何事もなく終わらせませんよ勿論!!う腐腐腐…
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